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中公新書「ある明治人の記録」 [歴史本]

副題は「会津人柴五郎の遺書」となっています。会津藩士の家に生まれ、10歳で明治維新を迎え、大正時代には陸軍大将になった人の足跡がまとめられています。

戊辰戦争で明治新政府軍と会津藩を含む奥羽越列藩同盟が戦ったことは教科書にも出てきますが、敗れた会津藩がその後どういう道をたどったのかは、あまり知られていません。この本ではその辺りのことがとても詳しく書かれています。

会津藩は一旦は取り潰しとなったのですが、その2年後に今の青森県の下北半島のあたりに3万石で斗南(となみ)藩として再興が認められました。しかし3万石といっても耕作できる土地には既に地元民が住んでいて、新たに土地を開拓するといっても気候も厳しく、結局実際は7000石程度しか米は獲れなかったようです。会津藩丸ごと島流しにあったようなものだったといえるかも知れません。

維新前の会津藩は京都守護職だったこともあって、実収入は約68万石だったようです。維新をはさんで、率にして1%ちょっとに収入が激減したわけです。今の大卒の新入社員が20万給料をもらったとして、翌月から月2000円で暮らせと言われたらどうするか?どういう生活が待っているのか、とても想像できません。

斗南藩は結局わずか2年で廃藩置県を迎え、殿様は政府の命令で東京に集められ、家臣たちの中にはまた会津に戻った人もかなり多かったようです。この主人公も会津に戻っていますが、そこでもまた過酷な生活が待っていたようです。

80年のNHK大河ドラマ「獅子の時代」は、一説にはこの本がモデルになっているともいわれています。主人公は菅原文太演じる会津藩士平沼銑次と、加藤剛演じる薩摩藩士刈谷嘉顕という架空の人物でしたが、平沼銑次も下北半島へ移住し、そこで父を失っています。また平沼銑次の弟は陸軍に入隊しており、この本の内容に通じる部分が色々あります。今はレンタルビデオでも借りられます。


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