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杉森久英著 「天才横綱 輪島大士物語」 [相撲本]

出版元は河出書房です。元々は北國新聞で平成8年に丸一年かけて連載されていた小説を書籍化したもので、著者はこの連載終了の翌月に亡くなっています。そのせいか、輪島が横綱に駆け上がる頃まではとても詳しく書いてあるのですが、その後いきなり引退後に話が飛んですぐ終わってしまっています。

著者がもう少し生きていれば、無敵の勢いだったといわれる、横綱昇進後の27連勝の頃まできっと話が続いていたのではと思います。そう思うと、惜しい作品です。

輪島というと、左四つで左下手を取って、右から強烈に相手の左を絞っておいて黄金の左の下手投げ、というのが十八番ですが、この本を読むと、番付が下だった頃は型が右四つなのか左四つなのかはっきりせず、むしろ右四つで左上手を取る方が多かったような印象を受けます。

輪島は晩年、右四つの力士相手には右四つで取る相撲が多くなり、安定した成績を残していましたが、若い頃右四つで取っていたのであれば、それほど難儀なことではなかったのだろうなと、これを読んで思いました。

また輪島の苦手というと高見山というのがすぐ浮かびますが、横綱に上がる前は富士桜にもよく負けていたことがわかります。立ち合い一気に出てくる押し相撲の力士はやはり最初から苦手だったようです。

プロ入り前に、当時の横綱大鵬や大関豊山が輪島をスカウトに来ていたということも書かれています。結果的に輪島はその誘いを断り、金沢高校、日大と進み、日大の稽古場と隣り合わせだった花籠部屋へ入門するのですが。

この本の終わり近くに、輪島語録というのが載っていました。以下一部抜粋です。

1.鮨屋にて
輪島「今日はおれ、辛いものが食いたいのだ。さちこめんたいこを握ってくれ」
さちこめんたいこなんて、置いてないし、第一、聞いたこともないので、板前がまごまごしていると、
輪島「あれだよ、あれを握ってくれ」
指さした貼り紙には辛子明太子と書いてある。(以下略)

2.レストランにて
輪島の注文「鍋焼きうどん、卵は二個入り。熱いのは駄目なんだ。おれ、猫背だから・・・」
猫背は猫舌のまちがいらしい。(以下略)

輪島の天然ぶりについては、この本に載っている以外にも、輪島に電話をかけてきた相手が「電話が切れそうだ」と言ってきたら輪島が「俺が10円入れれば大丈夫だろう」と言ったとか、和田アキコが何か賞を取った時のお祝いに輪島が菊の花を贈ったとか、いろいろネットにも流れています。どこまで本当なのかわかりませんが。
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