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「悪者扱い」 第十五代時津風親方(山本順一)著 竹書房 [相撲本]

前から気になっていた本を、ついに図書館で発見しました!

副題には「八百長はやった。でも弟子暴行事件はでっち上げられた!」とあります。

ここ20年来、週刊ポストの八百長相撲報道を熟読してきた私としては、この「八百長はやった」という部分は、見逃すわけにはいきません。

この本は、2007年に時津風部屋の弟子暴行死事件で日本相撲協会を解雇された、元時津風親方によって書かれています。

内容的には、前半が元親方の入門経緯と八百長に関する記述、後半は弟子暴行死事件についてページが割かれています。

八百長に関しては、2011年の八百長メール発覚による力士の大量処分についても書かれています。一言で言うと、今回の八百長事件では、元親方の現役当時(主に1970年代)と比べて八百長が余りにも多すぎる、という話です。

元親方の時代の八百長は、いわば単発的で、本当にここ一番でしか八百長はやらず、基本的にはガチンコの世界だったと見て取れます。またその当時の八百長は、対戦する当事者同士とその付け人しか知りえず、親方はもちろんのこと、他の力士にも全く気付かれないものだった、とも語られています。

それが今回の八百長事件では、何人もの力士が星を回し合って、その力士たちの間では半ば公然と取引がされている、いわば馴れ合いの世界になってしまっている様子が浮かび上がっています。

この辺りは、過去の八百長報道や関係者の暴露証言ともそれなりに符合しています。

二子山理事長時代の1991年に、当時の出羽海監察委員長が理事長と共に、力士や親方衆を前に八百長叱責の発言をしていたことは、週刊ポストの記事に加え、テレビ局にも録音テープが流出し明らかになっていますが、その中で「昔の50倍くらいになっている」という発言もありました。

また元横綱輪島の元夫人が週刊現代で、「かつての注射(=八百長)はここ一番に打つからこその注射だったが、朝青龍の注射は(多すぎて)もはや注射とはいえない」というような意味の発言もしていました。

弟子暴行死事件に関しては、当時メディアで報じられていたこととは、かなり違ったことが色々と書かれています。もう少し正確に言うと、当時のメディアが報じなかったことが色々と記されています。

例えば、亡くなった弟子が部屋を脱走した際に、今後相撲を続ける気持ちがあるのかどうか親子でよく話し合って欲しいと親方から父親に伝えていたにもかかわらず、父親がその息子を部屋に連れて戻ってきて、煮え切らない返事を続ける息子をそのまま部屋に置き去りにして帰ってしまった様子などが書かれています。また、亡くなった弟子がたばこを吸っていて、兄弟子たちが注意してもなかなかやめようとせず、兄弟子が暴力をふるって親方の奥さんが止めに入ったことなども記されています。

こうなってくると、何が本当なのかよくわかりませんが、この本の内容はある程度具体性も伴っているようにも思えるので、100%作り話とも言えないように私には感じられました。もしこれが本当だとすると、警察や検察の取り調べやメディアの報道のあり方にまで目を向けなくてはいけなくなります。

この本の残念な点としては、語句の間違いや落丁が多く、また事実の誤りも一部あります。この手の本にはありがちな話とはいえ、いきなり序章の書き出しの部分から間違えるというのは、ちょっとお粗末過ぎます。「元大鳴門親方の『八百長』」は、正しくは「元大鳴戸親方の『八百長』」となります。また73ページに、北の富士が横綱に昇進したのは1973年3月、とありますが、これはどうも琴桜と北の富士を混同しているような内容です。


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