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PHP文庫 「阿部正弘」 祖父江一郎著 [歴史本]

阿部正弘といえば、幕末の黒船来航時に幕府老中首座の地位にあり、その後の日本の進路に大きな影響を与えた人物の一人として知られています。

備後福山藩の大名家に生まれ、25歳で幕府老中に抜擢され、天保の改革で名が知られる水野忠邦の失脚後に、27歳で老中首座に就任しています。譜代名門の出身である一方、人材登用にも積極的であったといわれています。

黒船来航に際して阿部正弘のとった対応については、あれから160年近くたった今でも、その評価は定まっていないようにも思います。幕府という枠にとらわれずに、かなり先の見通せる政治家だったように思える半面、幕府の弱体化やその後の政治や社会の混乱を招く大きなきっかけを作ったともいえます。

阿部正弘は日米和親条約締結後、老中首座を退き、日米修好通商条約締結の前年の1857年、39歳の若さで病死しています。肝臓癌だったようですが、これは明らかにストレスで寿命を縮めた例ではなかったかと思います。

この本は伝記というよりは歴史小説という感じです。どこまで史実が引用されているのかは、阿部正弘に関する本を何かもう一冊読まないと、ちょっと判断はつかない感じです。

内容的には、登場人物の会話の部分がたくさん出てきて、かなり創作が多いような印象を受けます。ただ、歴史になじみの薄い人が、物語として読むには良い本ではないかと思います。

余談ですが、福山城はJR福山駅の目の前にあります。新幹線からもよく見えます。阿部正弘は江戸の生まれで、また若くして幕府中枢に登用されたため、生涯でお国入りしたのは一度しかなかったようですが、私もチャンスがあったら訪れてみたいと思います。
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